海外の保育園で働くと、どんな毎日になるのか。想像しようとしても手がかりがなくて、途中で止まってしまう。私もそうでした。
- 実際の勤務時間
- 休憩が取れるかどうか
- 書類仕事の量
- 日本との具体的な違い
- 続けていけるのかという不安
私は日本で小学校の教員をしていて、25歳でオーストラリアに来ました。今はこちらの保育園で2歳児クラスを担任しています。この記事に書くのは、私が実際に働いている園で起きていることだけです。

海外の保育園って、日本とそんなに違うものなんでしょうか

違います。ただ、良いことばかりでもありません。両方そのまま書きます
勤務時間、休憩の取り方、1日の流れ、書類仕事。そして日本にあってこちらにないもの。この5つを順番に見ていきます。良い部分だけを並べても役に立たないので、こちらのほうが不便だと感じた点も同じだけ書きました。読み終わるころには、あなたの1日と並べて比べられるだけの具体が手元に残るはずです。
オーストラリアの保育の勤務時間

まず時間の話から始めます。海外で働くことを考えるとき、給料や英語力にばかり目が向きがちですが、毎日の暮らしを決めるのは結局のところ勤務時間です。何時に起きて、何時に家へ帰るのか。そこが見えないと、自分がそこで生活している姿を想像できません。ここでは私の園の数字をそのまま出します。ただし最初にお伝えしておくと、この数字はどの園にも当てはまるものではありません。
フルタイムは1日8.5時間
私の園のフルタイムは1日8.5時間です。
このうち1時間が休憩にあたり、さらにその1時間のうち30分は有給として扱われます。休憩を取っても、30分ぶんは給与が発生するという仕組みになっています。
数字だけ見ると日本とそう変わらないように思えるかもしれません。違いが出るのは、この休憩が本当に取れるかどうかという点でした。

働き方に合わせたシフト
私の園には朝番と遅番があります。
朝番は6時半に始まって15時に終わり、遅番は10時から18時半まで。私は遅番に入ることが多く、午前のおやつが終わったころに出勤します。ただしシフトはこの2つだけではありません。カジュアルやパートタイムで働く人は、忙しい時間帯に合わせて入ることもあり、その人の働き方に応じて柔軟に組まれています。
気をつけてほしいのは、勤務時間は園によってまったく違うという点です。求人を見るときは、時間帯を必ず確認してください。
週4日で働くという選択肢
週5日勤務とは別に、週4日という働き方もあります。
この場合は1日10時間勤務になり、休憩は1時間です。1日は長くなりますが、そのぶん週に3日休めます。
どちらが合うかは人によるでしょう。選択肢が用意されていること自体が、私には新鮮でした。
- フルタイムは1日8.5時間
- 休憩1時間のうち30分は有給
- 週4日勤務なら1日10時間
- シフトは働き方に応じて柔軟
- 時間帯は園ごとに違う
必ず回ってくる休憩時間

ここが、私にとって一番大きな変化でした。休憩を取れるかどうかは、その仕事を続けていけるかどうかに直結します。数字の上で休憩時間が設定されていることと、実際に手が空くことは、まったく別の話です。日本にいたころの私は、この2つが一致しない環境にいました。オーストラリアの園では、きちんと一致しています。精神論でそうなっているわけではありません。なぜ一致するのか、仕組みの部分から説明します。
休憩を回す専任のスタッフ
こちらの園には、休憩を回すためのスタッフが確保されています。
その人が私の代わりにクラスへ入り、入れ替わりで私が休憩に出る。この形で順番に回していくので、誰かが休憩を取れないまま一日が終わるということが起きません。
人が足りないから今日は無理、という日がない。仕組みとして人員が確保されているのが決定的でした。
1時間のうち30分は有給
休憩の長さは1時間です。
そのうち30分は有給として扱われます。金額として大きいかと言われれば、そこまでではないかもしれません。
それでも、確実に手が空く時間が毎日あるというのは、想像していた以上に効いてきます。
日本の小学校との決定的な差
日本で小学校教員をしていたころ、決まった休憩時間は確保されていませんでした。
名目としては存在していたのかもしれません。ただ私の感覚では、出勤してから退勤するまでずっと仕事をしていたようなものでした。
休憩を取れるかどうかは、本人の要領や頑張りの問題ではなく仕組みの問題だったのだと、こちらに来てから気づきました。
- 専任スタッフが交代で入る
- 1時間のうち30分は有給
- 取れないまま終わる日がない
0歳から2歳未満クラスの1日

次は、実際の1日を時間順に追っていきます。私の園では0歳から5歳までの子どもを受け入れていて、そのうち私が入っているのは0歳から2歳未満のクラスです。0歳児は生後6週目から預かることが制度としては可能になっています。ただし実際に生後6週の赤ちゃんを園で見ることは、私の経験ではまれでした。可能であることと、よくあることは違います。ここから書くのは、私が入っているクラスの1日です。
開園から午前のおやつまで
園が開くのは6時半です。
7時半に朝食、8時半にgroup timeと呼ばれる集まりの時間、9時に午前のおやつ。ここまでが午前の前半で、その後はプログラムに沿った活動に入ります。私が出勤するのはこのあたりの時間帯です。
朝は子どもが少しずつ登園してくる時間でもあり、全員がそろうまでにはまだ間があります。
昼食とお昼寝の時間
ランチは10時半です。
日本の感覚では早く感じるかもしれません。そこから11時半までが食事や着替えの時間で、11時半から13時がお昼寝にあてられます。
0歳児は生活のリズムが違うため、午前と午後の合間にもお昼寝を挟みます。
午後の活動から退勤まで
13時半に午後のおやつです。私が休憩に出るのは13時から14時のあいだですが、毎日この時刻と決まっているわけではありません。
そこから15時半まではアクティビティか自由遊びで、15時半から16時が夕方の軽食にあたります。あとは各家庭のお迎えを待つ流れです。
園が閉まるのは18時半。遅番に入っている日は、私もここで退勤します。
- 6時半 開園
- 7時半 朝食
- 8時半 グループタイム
- 9時 午前のおやつ
- 10時半 ランチ
- 11時半 お昼寝
- 13時半 午後のおやつ
- 15時半 夕方の軽食
- 18時半 閉園

書類仕事に充てる時間

残業がないと聞くと、書類が少ないのだろうと思われるかもしれません。私も来る前はそう思っていました。実際はまったく違いました。計画を立て、子どもの姿を記録し、週の予定を組む。やるべきことは日本にいたころと同じだけあります。違うのは、それを勤務時間の中でどう捌くかという部分でした。ここは正直に書きますが、余裕があるとは言えず、きれいごとでは済まない場面もあります。
プログラミングという時間
こちらにはprogrammingと呼ばれる時間があります。保育の計画を作るための時間で、日本でいうノンコンタクトタイムに近いものだと考えてください。
この時間はratio、つまり保育者1人が見る子どもの人数の基準に合わせて、臨機応変に取ります。毎日決まった時刻に確保されているわけではありません。
programmingの時間を使って、週の計画とobservationを書いていきます。observationは日本でいう観察記録にあたるもので、子ども一人につき月に1回のペースで残していくものです。
お昼寝中のlearning story
learning storyと呼ばれる記録もあります。programming evaluationという言い方もするもので、子どもたちがプログラムに沿ってどんな活動をしたのか、どんなことがあったのか、その様子を写真とともに残していくものです。
こちらは毎日書くもので、お昼寝の時間を使って進めます。ただし同じ時間に掃除も済ませていくため、実際はかなりタイトでした。
空いた時間とお昼寝の時間をうまく使いながら、掃除も済ませていくという形です。
書類のための週2時間
書類のための時間は、週に2時間与えられるようシフトが組まれます。
ただ、その通りにいかないのが現実です。子どもの状況は日によって変わるので、予定していた時間がそのまま使えるとは限りません。
それでも残業はしません。限られた時間の中でどう組み立てるかを考えるようになったのは、こちらに来てからの変化です。
- 毎日書くlearning story
- 月1回のobservation
- お昼寝の時間を活用
- 週2時間の書類時間

日本の職場になかったもの

ここからは、日本の職場では見かけなかったものを3つ挙げます。働きやすさにつながった変化もあれば、ただただ驚いて立ち止まってしまったものもありました。順位をつけるつもりはありませんが、最初に見たときの衝撃という意味では、2つ目が圧倒的です。日本で育った人なら、おそらくあなたも同じところで手が止まると思います。その場面を想像しながら読んでみてください。
残業がないという前提
残業はありません。
定時になれば帰りますし、持ち帰る仕事もありません。これは残業しないよう各自が努力しているという話ではなく、残業しない前提で仕事が組まれているという意味です。
終わらなかったものは、翌日の勤務時間の中で片づけます。
どこでも土足という文化
一番驚いたのは、これでした。
こちらの園はどこでも土足です。赤ちゃんの部屋でさえ土足で、外を歩いてきた靴のまま入った床の上を、赤ちゃんが這っています。
日本ではまず考えられない光景ではないでしょうか。私は最初、目を疑いました。
子どもが選べる食事
食べたくないものがあるとき、別の選択肢が用意されます。
サンドイッチのような簡単なものですが、そちらを選ぶことができます。
食べる側が選べるという前提そのものが、私には新しいものでした。
- 残業のない前提
- どこでも土足
- 食事の選択肢
日本にあってこちらにないもの

良い面だけをお伝えするのは、少し違う気がしています。オーストラリアで働き始めてから、日本の職場のほうが恵まれていたと感じる場面も何度もありました。とくにお金にかかわる部分は、渡航する前に知っておくと生活の計画が立てやすくなります。あとから知るよりも、先に分かっていたほうが落ち着いて準備できるはずです。ここも私の感想ではなく、実際にどうなっているかだけを書きます。
交通費とボーナス
良いことばかりではありません。
交通費もボーナスも支払われません。日本の福利厚生は、こちらと比べるととても手厚いものだったと感じています。
通勤にかかるお金は自分持ちです。住む場所を決めるときは、ここも計算に入れておいてください。
品数のある給食
給食は基本的に一食です。
日本のように何品目も並ぶことはありません。
彩りや栄養バランスを考え抜いた日本の給食は、今から振り返るとかなり特別なものでした。
夏のプール遊び
プール遊びがありません。
夏になると水遊びの準備をしていた日本の園を思い出すと、少し寂しくなることもあります。
ないものはない。そう受け止めて、別のあそびを考えるようになりました。
- 交通費の支給
- ボーナス
- 品数のある給食
- 夏のプール遊び
保育の職場環境のよくある質問

ここまでの内容について、よく聞かれることをまとめました。どれも私の園で起きていることであって、オーストラリア全体の話ではありません。その前提で読んでください。
日本の保育経験は必要か
私の場合は必要ありませんでした。日本では小学校の教員をしていて、保育の現場で働いた経験はないままオーストラリアに来ています。ただしこれは私の例であり、園や職種によって求められるものは変わります。
0歳児は何歳から預かるのか
制度としては生後6週目から受け入れが可能です。ただ実際に生後6週の赤ちゃんを園で見ることは、私の経験ではまれでした。可能であることと、よくあることは別だと考えてください。
残業は本当にないのか
私の園ではありません。持ち帰りの仕事もありません。ただし書類の量が少ないわけではないので、勤務時間の中でどう捌くかという別の難しさがあります。
掃除は誰がやるのか
私の園では保育者が行っています。空いた時間やお昼寝の時間をうまく使いながら進めていく形です。同じ時間帯に書類も書くので、ここはなかなか忙しい時間になります。
給食が合わない子はどうするのか
サンドイッチのような簡単なものが、別の選択肢として用意されます。品数が多いわけではありませんが、食べられないまま終わるということにはなりません。
勤務時間は園ごとに違うのか
違います。私の園は朝番が6時半から15時、遅番が10時から18時半ですが、これはあくまで一例です。求人を見るときは必ず時間帯を確認してください。
保育の職場環境のまとめ
オーストラリアの保育の職場環境は、日本と比べて良い部分も、そうでない部分もありました。
残業がなく休憩が必ず回ってくる一方で、交通費もボーナスも出ません。書類の量は変わらず、掃除まで同じ時間に収める日もあります。どちらが優れているという話ではありません。前提そのものが違うのだと受け止めています。
- フルタイムは1日8.5時間
- 休憩は専任スタッフが回す
- 書類は勤務時間内で捌く
- 残業も持ち帰りもない
- 交通費とボーナスは出ない
最後にひとつ、明日できることを置いておきます。自分が何分休憩を取れたかを数えてみてください。もし0分に近かったとしても、それはあなたの要領が悪いからではないと思います。日本の小学校にいたころの私も、ほとんど0分でした。休憩が取れるかどうかは仕組みしだいなのだと、私はこちらに来てから知りました。

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